【所在地】千葉県鴨川市大沢
おせんころがしは千葉県の房総半島・鴨川市にある景勝地。なだらかな崖が4kmも続く交通の難所とされてきた。
悲しき “お仙伝説”
お仙は、この地域を治めていた古仙家の一人娘であるとされている。領主の娘として何不自由なく育てられていたお仙であったが、その聡明さゆえに、領民の窮状を知るところとなった。古仙家は重い年貢を領民に課して厳しく取り立てていたのである。心を痛めたお仙は、数え13歳の時に意を決して、父親に華美な生活を慎みたいと願い出た。その健気な態度は領民の怨嗟を鎮めた。
そしてお仙18歳の秋は久しぶりの豊作であった。ところが欲深い古仙家はこの時ばかりと年貢の率をつり上げた。領民は名主を立てて交渉するが、けんもほろろであった。さらにそれを聞いたお仙も懇願するが、それすらも拒否してしまった。ここに来て領民は怒りを爆発させた。秋祭りの夜、酒に酔った若い者を中心に領主の家を襲い、酔いつぶれて寝ている領主を有無も言わさず簀巻きにすると、断崖から投げ落としたのである。
翌朝、領主の死を確かめに浜まで降りた領民は、そこで変わり果てた姿のお仙を見つける。父親の着物を身につけたお仙の亡骸を見た領民は、自分たちの暴挙を悔い泣き叫び続けた。それは命を救われた領主も同じであった。やがてお仙が亡くなった断崖は“おせんころがし”と呼ばれるようになり、その霊を慰めるために「孝女お仙供養塔」が領民の手によって建てられたという。
(日本伝承大鑑より引用)
領民の立場になって懇願していたにも関わらず、領主と間違えられ不幸にも崖から落とされ亡くなったお仙の悲しき伝承が残っている。
悲劇は繰り返される… “おせんころがし殺人事件”
1951年10月10日、この「おせんころがし」にて母子4人が無差別に投げ落とされ殺害される事件が発生した。
犯人の栗田源蔵はこの事件以外にも栃木県や千葉市内でも強姦殺人などを繰り返しており死刑判決を受け執行された。
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